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日々の破片

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2012-11-02

_ メトライブビューイング観に行った

メトライブビューイングは、ライブと言っても生中継ではなく、生舞台の映像化で、NHKの芸術劇場とかとそう変わらない。(と書いてしみじみと思うのだが、やはり日本は映像については圧倒的な先進国なのは間違いない。NHK、BBC(ロイヤルオペラ)、ヨーロッパのいろいろ(ザルツブルク、ルツェルン、ウィーン、パリ、このあたりはそれらの国の放送局がやっていると思う)、そしてメトと比較すると、NHKの撮り方のうまさは抜群で、舞台の全容と個々のソリストの動きが実に的確でしつこくなく、ある特定時点のソロを強調し過ぎて全体を見失う(木を見て森を見せない映像)とかが全くない。NHK最高だなぁ)

ただ、媒体がテレビではなく映画館に対して配信するところが異なる(たぶん、契約によってはテレビでも流すのだと思うけど)。

また、ライブビューイング化された作品はDVDなどで販売もしている。

メトのDVDをいくつか持っていて、たとえばドンパスクアーレだと、幕間にいかにもアメリカの下世話なおばさん(ソープオペラのイメージ)が「はーい、ルネフレミングよーん、今日はネトレプコちゃんの様子を見ちゃおうか!」とかやってきたりして、なんじゃこりゃでもあり、楽しくもあり(まあインタビューとか普通におもしろい)、あるいはカメラワークが異様で、オーケストラピットの上をうごめきながら指揮者に近寄りぐるっと回って独奏パートの上からのぞきこみながら顔をアップしてまたぐるっと旋回しながら指揮者へ近づく(なんとなく胃カメラとかこういう動きをするんだろうなぁとか思う)。

Donizetti: Don Pasquale [DVD] [Import](Anna Netrebko)

(先日、新国立劇場でドンジョヴァンニを歌ったクヴィエチェンがいい加減な医者(お兄さん)役で大活躍したり、ほとんど一人で歩けなくなっているレヴァインが心優しきジャバザハットのような姿で椅子に半分ずり落ちたような腰掛けかたをしながら終始にこにこ指揮をしていて、実に良い感じだ)

ただ、DVDで観るのと映画館で観るのは異なるだろうと、愛の妙薬を子供が観たがったというのもあって、2012年シーズンの最初の愛の妙薬を観に、新宿へ行ったのだった。

実際には、その前に3枚つづりの前売りかっておいて、火曜だか水曜だかに座席指定券に取り換えてから行った。

で、最初にとにかく(手元のDVDと違って)目立ったのが、ノイバウアー家財団とかいうのが支えているというアナウンスで、ほーノイバウアーさんのおかげですか、と刷り込まれた。

ライブなので客席を最初は映すのだが、いずこも同じく70代以上の客ばかりだ。

ネモリーノはポレンザーニというザルツブルクのドンジョヴァンニでドンナアンナの婚約者の役とか、上記DVDのドンパスクアーレの無能な甥とかで馴染みがあるテノール。

このテノールは悪くはないのだが、そのちょうど前に買って観た眉毛のネモリーノがあまりに良かったので(実はロドルフォとか聴いて今いち汚いなぁとか思っていたのだが、ネモリーノは素晴らしかった)、それと比較するとどうにも物足りない。

それに対してネトレプコは妙な帽子(演出家によれば権力の象徴として被せたらしい)で実に堂々たるものだ。うまいなぁ。

ベルコーレはクヴィエチェンでドンジョヴァンニもそうだったが色男がさまになる男でこれも良い(ビリャゾンがネモリーノのDVDのベルコーレはヌッチでおいおっさんあっち行けっぽい感じがしていまいちなのだ)。

と、カメラワークがうるせぇなぁとか、なんでそっちを映しているんだとかいろいろあるが、歌手が良いしオーケストラも良いのであっという間に一幕が終わる。

で、幕間になると、ルネフレミングではなく、デボラヴォイト(考えたらこの人もアメリカ人っぽいから、インタビュアは英語が母言語の人間を選ぶのかも知れない)が「はーいデボラよーん」とか言いながら出てきて、舞台の裾のほうで待っていると、まずクヴェイツェンがやってきて、「おいらは用無しだろ、彼女は後から来るよ」とか言いながら去っていき、ネトレプコがやってきてガールズトーク。

いやまあ、愛の妙薬だのドンパスクアーレだの軽い演目だから、この構成でも良いけど、余韻もへったくれもありゃしないから、1幕が深刻であったり劇的に幕切れるやつ(プッチーニはどれもそうだ)とか、大悲劇だったりすると、相当うるさいんじゃないかなぁとか思う。

で、ガールズトークが終わると、デボラが(ちょっと記憶が曖昧で、ふつうのキャスターになったかも)メトを支えているのはノイバウアーさんだけど、あそこだけじゃ足りないのよ。今度ライブビューイングは(忘れた)の3だか4か国も配信対象になったの。すてきじゃない? でも、配信するたびに赤字が垂れ流しなの。ひどいと思わない? そこで、あなたも、ばんばん寄付してちょうだい! と、寄付のお願いになる。

そういえば、新国立劇場も10万円寄付しろという紙を今日配ってたな。メトに寄付するなら新国立劇場に寄付するが、とりあえずは客として金を出すところまでだなぁ。

で、寄付のお願いが終わると、予告編大会となる。

サイモンリーンリーサイドという人とイザベルレナードという人が出てきて、トーマスアデスのテンペストという作品の広告(彼らが主演なのだ)をしたりして、これがめっぽう面白そうなのでたぶん観に行くだろうとか。

その他の演目についても次々と紹介していくので、これはおーおもしろそーとか、これは行こうとか、こういう曲なのかとか、こういう演出をするのかと、観てしまうわけだが、既に愛の妙薬の1幕の余韻はどこにも無い。

これ、初見の楽劇で一所懸命にライトモティーフを覚えたりしても(ドニゼッティだからそんなものはないけど、それなりに印象的なフレーズとかは覚えるわけだ)、完全にすっ飛んでしまうだろ。というわけで、非常に印象が悪い。おれが記憶力が悪いのかも知れないが、別の種類の音を聴かされると音色込みで覚えるからわからなくなってしまうのだった(繰り返し聴けばもちろん覚えられるけど、1回のみだとそんなものなのだ)。

さらに演出家に工夫どころを聞いたり、小道具係とか、舞台係とか、おもしろいんだけど、もう舞台のことは全部忘れてしまったよ。

で、10分間休憩とスクリーンに映ったので外に出る。

しかし後で子供に聞いたら、別にその間もいろいろ(料理係の人の話とか)やっていたらしい。もしかすると、幕間になったら、休憩とか表示されなくても外に出るのが正解かも知れないが、オペラパレスと異なりシネコンの外に出ても休めるところがあるわけではないから意味ないか。

というわけで、時間分とにかく内容を詰め込もうとしているので、退屈はしないし、錚々たる歌手が出てくるし、悪いものではない。

価格は3500円くらいするので普通の映画の倍だが、生のオペラは国内の変な席でも7000円(頑張れば4000円くらいの席もあるけど)することを考えれば安いものだ。

演目にもよるが、また行こうかなという気には十分になる(ただ幕間が落ち着かないのが気になる。実況中継ではないのだから、短縮すれば良いんじゃないかと思うのだが、そうしないところから考えると、結局、予告編と寄付のお願いを観客が逃げられない時点で流すという意思なのだろう)。

特に、舞台の細かな動きは観客の目線とは異なる異常な位置から撮影したりするので演出の細かい意図まで(同時進行で他の位置で何かしていない限り)良くわかる。その点は実に良い。また、映像の質も高い(音は5.1だというけどそれはあまり関係ないような気がするが、もちろん、生で聴くより遥かに均質に良い音だろうとは思う。実際の劇場では本当に場所によって音が異なるので外れるとひどいものだ。NHKホールの2階脇の席の奥とか音が入ってこない上に入った音が妙にこもって聴こえたりするし、その反面、上野の2階あたりの脇の席は実に良く響いて素晴らしい(逆に1階奥はひどい)、いずれにしても新国立劇場は4階ですら良いのだが、今度は舞台の細かな動きは追えない)。


2012-11-03

_ VS2010 インストーラプロジェクトのだめな点

もう、VS2012からは消え去った過去の遺物なので、今更、ダメな点に気付いてもまったく意味がないけど、こいつはだめだ。

何がだめかというと、x86、x64混在インストーラを作りたくても作れない点だ。

とりあえず、x86にしておけば良いだろうとやってみたのだが、x64とx86の2種類のmsvcrtマージモジュールを組み込んでおくとビルドの比較的後段の時点で文句を垂れて中止する(後にはでっかなtmpファイルが残る)。

本気で、そういう用途が考え付かなかったのだろうか?

というわけで消えるのも当然なプロジェクトテンプレートだったのだなぁと納得。

_ 能楽堂の再リリース

groongaにパッチしたバージョンをリリース。


2012-11-04

_ Ruby-2.0.0-preview1

i386-mswin32_100

md5checksum: 6202760612e70260ad7761a27b24750f

10,789,376バイト

Ruby-2.0.0.msi


2012-11-06

_ ルールが変わったことを実感する

おれは持ってないけど、 ASUS EeePadシリーズ TF101 16G WIMAX PadOnly フ゛ラウン TF101-WIMAX(-) とか眺めて、
1,280×800ドット表示の高解像度10.1型ワイドLED IPS液晶を搭載
とかいうコピーを見ると、「え? どういうこと?」と感じてしまうのだった。10インチで1280×800というのが、まったく高解像度とは思えない(iPad2もそうなるわけだが)。 たとえば、Nexus 10 が『鮮やかな 2,560 x 1,600』で、これだとおお高解像度ですな、という感じだ。

2012-11-09


2012-11-10

_ プロダクトのインストール位置

ムムリクさんのRuby-2.0.0-preview1をインストールを読んでいて(tcltklibは入れたつもりだけど何かパッケージかビルドをミスしたらしい)、インストールディレクトリなら、WMIを使えば簡単に取得できるだろうと試してみた。

# coding : cp932
require 'win32ole'
 
service = WIN32OLE.connect('WinMgmts:Root\\CIMV2')
set = service.execQuery("select * from Win32_Product where Name like '%Ruby%'")
set.each do |ins|
  puts ins.Name
  puts ins.InstallLocation
end
が、無常な結果となる。
Ruby-1.9.3
    ← 空っぽ

はて、と調べると、WMIのInstallLocationプロパティはMSIのカスタムアクション51でAPPINSTALLLOCATIONARPINSTALLLOCATIONへ明示的に設定しなければ、何も入らない仕様らしい。

そういう面倒を不要にするために、Visual Studio Installerを使っているのに、このでくのぼうは既定ではカスタムアクション51のことは何もしない。

それだけではなく、よくよく列挙してみると(上のスクリプトでWQLのWhere以降を削除して全列挙させる)、MS Office、HTCの何か、Intelのいろいろ、Oracle、Adobe以外は誰も設定していない。というか、Visual Studioがそもそも設定していないから、おそらくVisual Studio Installerを作った連中は、カスタムアクション51の存在そのものを知らないのではなかろうか。Oralceは、JDKやJREの位置を調べるのに必要なのでまじめに設定しているのだろう。Adobeもセキュリティアップデートで既存バージョンを調べるためにまじめに設定しているのだな。IntelやHTCはハードウェア屋だからそのあたりはいかにも固そうだ。

というわけで、使えないということはわかった。おれが作るパッケージにカスタムアクション51を付けるかどうかはちょっと判断保留。


2012-11-11

_ Ruby-1.9.3-p327

Ruby installers

今度のパッケージには、ARPINSTALLLOCATIONを設定したので、WMIを利用してインストールディレクトリが取れます(が、手作業組み込みなのでうまくバッチに組み込めないとこれでおしまいとなる可能性あり)。

能楽堂のほうが影響があるので、こちらもすぐにリリースする予定です。

_ まさか京極夏彦が犯人ではなかろうか

何が気持ち悪いといって、「まぎゃく」という言葉が気持ちが悪い。

じじいの言葉ではあるが、子供の頃のテレビでもラジオでも書籍でも、いや、大学くらいになっても、こんな気持ちの悪い言葉は身の回りには存在しなかった。

しかし、ある頃から、周辺で耳にしたり目にしたりするようになった。

どうも「正反対」の意味のようだが、それは単に「逆」で十分であって、何故(なにゆえ)にわざわざよりによって湯桶読みが出てくるのか。そこが気味悪さの一因なのだった。音読み、訓読みは極めて自然な日本語になるし、重箱読みもそれ程悪くはない。重箱読みは不自然ではあるけれど、語尾が訓読みの語感になるために音読み部分が接頭辞として軽いからだろう。それが湯桶読みとなるとまさに正反対。座りが悪いため非常に耳障りだ(「ゆとう」と発音すると不自然さに総毛立つ)。

チョーだのイジャネだの、新語の類はたいてい妙な音読みか重箱読みだし、どちらかというと擬音や外来語由来なので気にもならないが、新語だとしたらますます不自然だ。

試しに手元の大辞林(1989年第11刷)を引いてみると、そんな言葉は出ていない。

が、もう1つの大辞林(2006年第三版を元にしたiPad/iPhone版)を引いてみると、

俗に、全く逆さま。正反対。
と出ていて、ははあ、新語の俗語なのかと、納得は行く。

新語の俗語じゃしょうがねぇなと納得は行くが、それにしても、何で漢字熟語っぽい(しかし湯桶読み)が新語で出てくるのだ?

と常々不快と疑問に悩みながら、憂さ憂さした気分を晴らすべく、子供が貸してくれた『百器徒然袋 山颪 薔薇十字探偵の憤慨』を読む。

百器徒然袋 山颪 薔薇十字探偵の憤慨 (怪COMIC)(志水 アキ)

小説では面倒臭くて読む気になれないが、志水アキのマンガになると実に面白いなぁ。

と、読んでいて、ふと「まさか」をわざわざ当て字で「真逆」と書いているのに気付いた。まさかまさかまさか。

少年マンガではないので、ルビが振っていない。当然、小説のほうも同じくルビは振ってないだろうと思える。

時期的に京極夏彦の登場は1994年頃だ。

おれは当て字心があるので、通常の当て字は初見でも読める。

しかし、普通は当て字が読める人間は少ない(学校教育からは外れているし、文学表現なので、それは全国の文学人口が最大でも(話題の作品を買うというのを除き)5万人を割り込んでいることから当然の帰結だ)。

そういう当て字心が無い人々が、「真逆」という語をまさかと読むのは簡単なことではないだろう。すると、音読みで「しんぎゃく」でも、さすがに座りが悪いし辞書引いても出てないので、しかし送りが無い(訓読みには必ず送りがあると盲信している人を見たことからそう推測する)ので「さか」と訓読みするとも想像しなければ、不自然さに気付かずに湯桶読みして「まぎゃく」が生じる可能性が大いにある。

真逆(まさか)?

_ 能楽堂1.3.5

Ruby-1.9.3-p327に更新。

能楽堂

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

Before...

_ ムムリク [近頃、新聞の見出しにまで使われていてゲンナリしています。]

_ arton [現代の中国語から(2000年単位で見ればこれまで通りだが最近はあまりなかった)移入した語という可能性もあるよね。]

_ oz92a0u4vr [<b></b> <b></b> <b></b> <b></b> <b></b>]


2012-11-13

_ 新国立劇場のトスカ

11日は、トスカ。

カバラドッシがやたら腹回りが太いが、声は張りがあって美しい。サイモンオニールというニュージーランドの人。トスカはノルマファンティーニ。遠目にはきれいだし声も美しいけどちょっと弱いかな。ただし、演技はきちんとしていて、特に感心したのは、スカルピアが通行手形を書いている間に机の上のナイフを見つけ、後ろに隠したりしながら、書き終えて手形を手にして近づいたスカルピアを刺殺した後(スカルピアが手に通行手形を持っているのは観客には強調していたのだが、それを見る間もなく)ソファとか妙なところを探し、書き物机の書類をひっくり返し投げ捨て、最後にスカルピアの死体のところに戻り、手の中の書類に気付くが、近寄ると生き返るのではないかと恐れてなかなか近寄れず、しかし意を決して近寄りかすめ取り、立ち去ろうとしてストールを取りにまたスカルピアのところへ戻り、また恐る恐る近づき引っ張る(その前にスカルピアの机の紙か何かで手を拭うところもある、というか演出の指示が細かいな)るまでの一連の動きの迫真性で、これは素晴らしい。

音も悪くなかったと思うのだが、しかしカーテンコールでは指揮者にブーイングが何人かから出ていた。素晴らしい指揮っぷりということはなかったと思うが、かと言って、ブーされるほどひどかったかなぁ?

演出と舞台は定番らしい。コスプレだが悪くないし、装置は見事。最初トスカは青く、次は赤く、(最後は忘れた)。スカルピオは韓国の人。名人らしいし、確かに堂に入っていて、1幕最後の行けトスカとか良い感じ。

テデウムが鳴り響く聖堂正面の画の十字架がXなのは不可解。本物がそうなんだろうか? でもカソリックなんだから十字架なんじゃないかなぁ。アンドレ派なのかな。

全体としてトスカをとても楽しめた。

ただ、何しろ物語がひどい。おれはこの作品の中の立場で行けばナポレオン党(というか民主主義者だから、というか、アメリカ人のせいで共和主義が非常に悪い意味になったのは困ったものだ)なので、堂守とか不快でしょうがない。1幕のトスカのばかげた嫉妬深さの表現も気分が悪い(が、そういう性格だからこその2幕なのかなぁ)。非常に気分が悪い物語だ。それにしても、頭に針のついたバンドをぎりぎり締め上げる拷問というのはなんなんだろうか? キリストの茨冠の何かなのかな。アンジェロッテが自殺するというのは、彼が反カソリック(革命家)ということを強調させるためのシナリオなんだろうか。


2012-11-17

_ たくさんの見せ方

10を見せるのではなく1000や10000を見せる必要が出てきて、ルールが全然違うと痛感する。

で、Processingを使うつもりは全くないが、どういうものはどういう見せ方がふさわしいかを教えてくれる、以前買って、その時はふーんで済ませてた本を再読したり。

ビジュアライジング・データ ―Processingによる情報視覚化手法(Ben Fry)

いい本だ。

で、Processing を使わなければどうするかと言えば、JavaScriptだ。

d3

が、とてもよい感じ。


2012-11-18

_ スピーカー買った

もう1年近く前になるが、ONKYOのスピーカーを買ったわけだが1万円ちょっとのスピーカー(実際にはLinux+VLC改とかの分、高い)とは言え、結構良い音がしてうれしい。

(もっとも、最初に床に置いたらひどい音だったのだが、置台を設置したら満足が行くようになった)

で、そうなると今度は机の上のSONYのやつがさすがに古びて来たので(音は相当気に入っているのだが、スイッチングノイズはすごいし、ちょっとスィッチをいじると右側から音が出なくなったりする(ステレオケーブルが原因かと思える場合もあるのだが、どうもそうではなく、内部の結線もおかしくなっているようにも思えるが、ばらしてどうにかする気にもならないし)、こっちも買い換えたくなった。

で、妙な形をしたUSBスピーカーを買ったのだが、後先考えなかったのが間違いで、音を出すPCは2台あったのだった。1つはWindowsマシンでいろいろ音は使う(DVD見たりYoutube見たりcourseraのフラッシュ見たりいろいろ)し、もう1つは古いMBPでiTunesの巨大母艦(100GB超えてるし)でこれは本気で重要だ。

Olasonic USBパワードスピーカー (イタリアンレッド) TW-S5R(-)

で、さっきからショルティとニルソンのトリスタンとか聴いているのだが、なんか弦の音がやたらと厚くてちょっと不自然な気がする(ソロが入ると異様に近くで聴こえる)ことを除けば(と書いた時点で8000円のスピーカーの音じゃないなと気づく。安物の音はもっと薄いものだ)なかなか良い感じだ。

後、USB外付けということから持ち運び用かと思ったが、ずしりと重くてちょっと無理っぽい(たぶん、上に書いた音の厚みを支える必要があるからだろう)。見た目が安っぽい(おれはキッチュだから悪い意味ではない)赤いプラスティックなのに、実際には鈍器なのだった。

Tristan Und Isolde(Wagner, R.)

(ここ数年、ショルティの明解さがすごく好きだ)

_ 上の続き

ふと、このスピーカーでリコとか聴いたらどうなのか? と思ったら、

マン・フロム・ワレイカ+9(リコ)

やーもう、勘弁してください状態というか、なにこれすごい。

(音酔いして3分以上聴いていられないのだが、定位がおかしいわけではない。なんだこれ?)

ブラックベアードとかは持ってないし、ニューエイジステッパーズは捨てちゃったからなぁ(と、ダブを聴いてみたくてしょうがなくなっている)

そうか、PILがあった。が、メタルボックスとかはいまいちだった(ジャーウーブルのベースはさすがにサイズ的に辛いのかな。キースレヴィンが五月蠅すぎるので、やはり中音域にバイアスがかかっている)。

しかし、フラワーズオブロマンスの変なドラミングとかは切れがあっていいかも(ただ今度はスネアが五月蠅すぎる)。

サイケデリックファーズみたいなギターバンドでもやはり音酔いして勘弁っぽい。というか、ギターバンド(エコー&バニーメンとか)は全滅。気持ち悪い。

と、音源をとっかえひっかえした結果、現時点でこのスピーカーで気持ちよく聴けるのはサリフケイタだった。

Ko-Yan(Keita, Salif)

適当にスカスカしていて切れ良くドラミングが入り、ボーカルが男声、中音のメロディライン系の楽器があまり使われていないやつ。(ただ、中音が全然入らないパートではペナペナした音がする……)

というようなことをやっているうちに、ボブマーリイの聴き直し大会になっていた。


2012-11-19

_ イギリスのある女中の生涯という本がすさまじくおもしろかった

牛追いの10女として生まれたウィニフレッドの生涯を聞きとってまとめた作品なのだが、これはものすごくおもしろかった。

20世紀初頭(第1次大戦前)にイギリスの田舎の土豪に牛追いとして雇われている父親のところで生まれたウィニフレッド(母親は女中から専業主婦になっている)の子供時代、少女時代(女中時代でもある)、途中第一次世界大戦をはさんで恋した相手は戦死して(多分、そこから悲しい後日談も後に出てくる)、逆に相手が恋していて無事生還した男と結婚して専業主婦となり、しかし夫はおそらく戦争の後遺症で何度か廃人化したのでまた女中に復帰したりと、波瀾万丈ではないのだけど、現在の生活から見るとまるで冒険のような人生がえらく細部に凝って書かれている。

記憶の断片の再構成だからだろう。妙にリアリティとコンテキストがある細部の積み重ねによってある時代、ある出来事、ある生活習慣、ある人々の態度、ある行事の様子といったものが興味深く、生々しさを伴って描かれているので、これがつまらないわけがない。

とにかく、次々と新しい発見があり、驚きがあり、喜怒哀楽があり、あっという間に読了した。これはすごい本だ。

子供時代、家の残っている(残っていないのは、ほとんどが女中として出ていったからで、一人はレイプされたためにふしだらな娘として救貧院に捨てられて(なんと理不尽な! と怒りに震えてもそこは紳士の国イギリスだから女中の立場というのはそちらが悪いからさんざん鞭で叩かれて救貧院送りになる。ウィニフレッドによれば救貧院が最悪なのは三度の食事が薄いお粥だけだかららしい。というか、現在のアラブの国とそれほど変わらない紳士の国だった)、ジフテリアで3人死んで、1人は兵隊と駆け落ちして(まるで高慢と偏見の時代と変わらないが20世紀のお話である)とかそんな感じ)姉たち(でもすぐに14歳になると女中に行ってしまう)や弟と、食べ物はほとんどないので森でツグミを捕まえて(これは売れるから売る)きたり、スズメを捕まえたり(これは害鳥だしもちろん食べる)、毛糸は羊が柵に体をこすりつけるから、柵に残った毛を集めて縁って作るといった暮らし。

イギリス初の金属製飛行機の飛行を観に弟と出かけていき、帰りが遅くなったため、母親に無茶苦茶自分だけが怒られる(弟は男だから何かがあったら大変だが、彼女は女だから何かがあってもどうでも良い、したがって、彼女がすべて悪いという理屈らしい)。そういう母親に対する怒りもあれば、まあしょうがないというあきらめもあり、それなりに尊敬もあったり、物の見方が一面的でなく、しかも批評眼を常に伴っているので、すべての事物がおもしろいのだ。

つまり、彼女は特別な存在で、たまたま女中(というか牛追いの娘)に生まれたのが運の尽きで、それ以外の環境にあれば全然異なる人生を歩めただろうと思う。

が、最晩年に本書の筆者に対して昔話をすることになったので、この稀有の書が生まれたらしい。仮に全面創作だとしても、説得力(各エピソードの内容と原因や感情が見事に組み合わさっている)の強さは半端ではない。

イギリスのある女中の生涯(シルヴィア マーロウ)

印象的なエピソード:

・最初に奉公に出た家を出る時の交渉(暇乞いの時点で主客逆転)

・戦勝祭でのドイツ人商人に対するリンチ

・食事はウサギのシチューの中身を主人家族に出した残りの汁

・コックは偉い。家庭教師は偉い。

・ピンハネをする中間管理職。

・やられたほうが悪いという論理の横行。なので身持ちが良いということが重要(主人の息子に手を出された場合、その娘の両親の勤め先にまで波及して一家全員解雇となり露頭に迷う)

・ジプシーへの施し(神様が乞食に姿をやつしてくるかも知れないので親切にしなければならない)

・第2次大戦後、若い女性が戦地から戻ってきて、そしてそのまま別の職業に就いたことから、女中という職業が大きく消失した

・賃金が上がると、貸家代が高くなったり、食費が徴収されるようになったりする

・紹介状なしではまともな職業にはつけない(門限を破った女中、兵隊に行った羊飼い-兵隊に行くと働き手が減るので怒った主人が兵隊の父親を追い出そうとしたところ、兵隊が軍に働きかけて阻止させたのを主人が恨みに思って除隊して戻ってきたらいきなり紹介状なしで馘首にするというエピソードがある)

・着替えの最中、隙あれば女中の脚を蹴って、誰が主人か教え込もうとする子供

・学校のエピソード。数学の時間は質問禁止。特別な生徒は良い席、良い食事、良い授業。

・軍隊の演習が農地や牧場を荒らしても補償は一切ないので、被害にあわないように気を付ける(牛を出さないようにするなど)


2012-11-20

_ KindleでPDFを読む

Kindleのパーソナル・ドキュメントを試してみた(たださんのKindleでトラぶっているのでちゃんと動くか試して欲しいとかだったので)。

で、パーソナルドキュメント設定に出ているEメールアドレス(ユーザ@kindle.com)に、同じく出ている承認済みEメールアドレス(アマゾンのログインに利用するやつが設定されている)からPDFなどを添付して送ると、アマゾンが用意しているクラウドへ送られる仕組みだった。

試しにオライリーから購入したPDFを送ると、これが話にならない。

拡大縮小が単にできるだけで、更新が遅いし、まったく読めない。昔の人はでっかな天眼鏡で本を読んだらしいが、そんな感じだ。

でも、ヘルプを良く読んだら、PDFについてはSubjectに「変換」と書いて送ると変換してくれると出ている。

ならば試してみよう。

結果は以下のようになった。

図版含めてまあ読める。

というのは、変換指定で送ると、テキストをちゃんと見てくれるようで、mobi(であってる?)と同じようにフォントメニューも表示されるようになるからだ(subjectを空にして送ったときはフォントメニューが出なかった)。

ただ、このページの上のほうに、中括弧が左端に並んでいるが、スペースかタブかわからないけど、そのあたりは詰まってしまう。つまり、ソースコードは相当に辛い。

オライリーでもポケットサイズのやつならどうかな? と変換なしで送った結果がこれ。

リストはきれいに出ているけど、まったく読めない(ポケットサイズでこれだから、大型本だと推して知るべし)。

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)(-)


2012-11-21

_ 東京(お江戸)の方言かもね

おそらくそれほど、年齢が離れていないように思えるので、言葉に対する感覚はおれに近いと思うのだが(真逆を気持ち悪く感じるとか)、それでもムムリクさんと異なる感覚もある

「否が応でも」

岡本綺堂、1939年に東京高輪に生まれる。

辻潤、1884年に東京に生まれる。

石原莞爾、1889年に山形に生まれる。

織田作之助、1913年に大阪に生まれる。

小栗虫太郎、1901年に東京神田に生まれる。

「否でも応でも」

有島武郎、1878年に東京小石川水道町に生まれる。

宮本百合子、1889に年東京に生まれる。

夏目漱石、1867年に東京牛込馬場下横町に生まれる。(厭が応でも表記もある)

久生十蘭、1902年に北海道函館区に生まれる(中学は東京の聖学院中学)。

否が応でもをグーグルで検索

おれの爺さんは明治に東京神田で生まれたからこのへんの人たち(大阪や山形もいるけど)と同じ言葉をおれに喋っていたわけだ。ミームとしておれに受け継がれる。

つまり、おれには、ごくごくナチュラルな言い回しだ。

もちろん、「否応」の口語表現(崩した話し言葉)だから、辞書に出ていないのはある意味当然であるけれど、今となってはむしろ文章表現となってしまったのだろうか? 言葉の変遷はおもしろい。

#ふと気付いたが、正式には否に「いや」という読みはない(「いな」はある)。なので、嫌や厭を当てるのはわからなくもない(岡本綺堂は忌を当てる時もある)。一方、「おう」は文句なしの音読みだ。したがって「否応」という言葉は本来の読み(「いなおう」)がなまって「いやおう」と変化したのだと考えられる。どちらにしても、湯桶読みはクズだ。ゴミだ。日本語の恥だ。したがって、いなおうはもとよりそれが変化したいやおうも忌避されて、いやでもおうでもや、いやがおうでも、と開くことが行われたのだろうなぁと推測してみたりするのであった。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ ムムリク [確かに「否(いな)」なので、それはありそうな話ですね。 うーん、おもしろい。]


2012-11-22

_ 否が応でもの意味

どうでもいいけど、これは、問答無用でという意味です。

誰かが否という意見を出そうが、応という意見を出そうが、そんなの関係ない、それでも地球はくるくる回っている、という少なくとも書き手(話し手)にとって、自明のかんかんな言い回しです。

そういえば、自明のかんかんみたいな、語調を整えるだけの無駄口も最近は耳にしないなぁ。「っていうか」っていうのはあるか。お茶の子さいさいはまだ生きているかな?

何で有馬の人形筆とか、後の祭りの笛太鼓とかも見ないな。

あー、腹が北山しぐれ。


2012-11-23

_ デフレ

ムムリクさんのデフレ?に、デフレの最たるものって賃金じゃないかとか書いて、不思議な思いにとらわれる。

デフレというのは、ものがだぶついていて価値が下がるために市場がそれを反映して価格を下降させることをいう。

で、賃金は労働市場がだぶついているので下げているわけだが、労働人口そのものも目減りしつつあるんじゃなかったっけな?(とっくに釣鐘型を保っていないし、2000年の時点から考えても、20歳以上60歳以下と仮定すれば就労可能人口は減っている)

にもかかわらず、労働市場がだぶついているというのは、1人あたり生産性がとりあえず限界まで向上してしまっている(たとえば10年前は1人の生産性を1とした場合、現在は1.5になっているとか)ということなのか? 就労可能人口が減少しているのに、だぶつくということは、仕事そのものが減っているということなのだろうけど、そこで不思議なのは、購買可能人口は2000年から比べて減っていないからだ。

そのくらい、海外労働市場への依存度が増しているということなのかなぁ。(もしそうでなければ、ラッダイトにも6%の理があるということになる)

(ミクロで見ても意味がないくらいマクロで見る必要があるということなんだろうか)

で、そこから、インフレ傾向にするには(単純化して)金を余分に刷る、円高にするには(単純化して)日銀が円をがんがん買う、と同じく、単純化して労働市場のインフレを行うには国が率先して公務員を高給でがんがん雇うっていう方法があるよなぁと考えてみる。

というわけで、公務員を倍増して賃金がんがん払ってやったらどうだ?

いいじゃん。

(公務員を削減して労働市場に放出したら、ますますデフレになるだけだろ? 違う?)

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ きしだ [公務員に金はらうのやめたらデフレになりますよねー どうするんでしょね]


2012-11-24

_ メトロポリタン美術館展

上野の東京都美術館で、メトロポリタン美術館展。

午前中に行ったのだがえらい人ごみで驚いた。が、部分部分で隙間があるので、観たいものを観る分にはあまり問題なかった。

特に印象深かったのは、ミレーの麦穂の山:秋という作品で、これは展示してある部屋に入った瞬間から、そこに何かすごいものがある感が漂っていて、とにかくあの画は観たいなぁと思わせる何かがある。で、その2つ前の画あたりの隙間から真面目に前列に並んで、たどりついて驚いたのがミレーの画だということで、全体は明るい色彩で、中ほどに3つの麦穂の巨大な山、その前景に羊がいるのだが、ミレーといえば天才的な構図の作り手で画調は暗め(晩鐘とか種を撒く人とか)とばかり思い込んでいたので、そこにびっくり(つまり、全然ミレーの画だとは思ってもいなかった)。細部を観ると、特に手前だが厚めの塗り込みで光を表現していてこれが抜群に美しいと同時にゴッホまでもう一歩(こちら側にいる)という感じで、あれ、ミレーとゴッホというのは意外と近しい画家なのだなと感じて、これも新鮮な発見。やはり高名な人というのは高名足り得るものがあるのだなぁと感心しながら、次の次の画に行くと、ゴッホがミレーを模写した習作があって、そこにミレーに私淑していたとかあって、なるほど腑に落ちる。うまい展示だ。

で、そのゴッホの糸杉が、これは圧巻で、感動的な作品。普通ではないということはやはり普通ではない。

もう1つの発見はホーマーで最後の最後に灯台の画があり、しかしどこにも灯台は見えず、月は無いが月の光があり、妙な赤い点があり、異様な美しさ。で、妙な赤い点が実は灯台と知ってその数ミリの点に過ぎない対象を描くための舞台の壮大さに感服する。

ティントレットの表面のすすっと書かれた線。

ドラクロアの粗っぽさ。

ルソーの極端な風景。マグリットまであと一歩な単純さと異様さ。人のサイズと木のサイズ、いい加減な葉。全体を見るとまともなのに細かく見ていくと変というおもしろさ。未来の光景のようだ。

自然は三角と円錐(だったかな)の人の空虚なしかし見事な様式美。

ルノアールは人物がいなくてもルノアール。これこそ印象派というお手本のような作品(2つあった)。

ヴラマンクって佐伯祐三の先生なのかな?

メソポタミアのカエルの曲面。

兜としての機能性をまったく感じさせないライオンの兜。これおもしろいなぁと思っていたら、妻が、あの時代のゆるキャラとか表現して、確かにあれ被って行進してたりすればゆるキャラ大集合だなと想像して可笑しく思う。

後、名前忘れた人の名前忘れた作品で、確か糸杉の1つ前なのだが、これも展示構成の妙と言えるのだが、おそるべき傑作。風景画といってもこれは見事だなぁと(前がつかえているので)細部まで見て感心、(その技に)感動すると、糸杉が来るので異化効果がただごとではない。

お馴染みとなった廃墟のロベールは軽い水道の画だが悪くない。確かに他の画家たちの画業と並べられると(ときどき挟まる)ティファニーと同じく工業的な何かが感じる。

2つ目の部屋のボッスかな? おや違う名前だのサンアントワーヌの誘惑。小さなサイズに細かい書き込みで卵の化け物や透明なドーム、左上に業火、おれはこのころの新教になろうとする国の作品はやはり好きだ。ブリューゲル(子)の同様な作品。崩れた肉体や落ちる肉体(これは地獄なのだろう)に囲まれてこちらへ逃げてくる鎧武者と女性かな? の作品。何か題材があるようだが知らなった(ものでそのまま忘れた)。

唐突に青空を骨を透かして眺めるオキーフ。

グロテスク(かつ色調が激しい)でとても食卓向きとは思えぬフランスの作家の水棲生物の大皿。

素朴なのだが異様な迫力があるイングランドかスコットランドかあちらのほうだと記憶しているけど、アダムとエヴァ(ひげがないだけで、体つきはアダムとほとんど変わらないので奇異な印象を受ける。宗教的な理由なのか技術の不足かなんなのだろうか)の織物。工芸作品のコレクションもなかなかおもしろい。

いずれもおもしろかったが、実物の画を観るという点では、ミレーとティントレット、それにホーマーがとにかく圧巻だった。ミレーってすげぇ作家だったのだなぁ。

あと、メソポタミア人とは気が合いそうだな。

西洋美術ぴあ 『メトロポリタン美術館展』のすべてを楽しむガイドブック (ぴあMOOK)(-)

思い出した。2つ目の部屋だと思うが、扉の上に飾られていたのだろうという注釈がついた画があって、回りの自然描写は自然なのだが、中央の(忘れたけどクピドみたいななにか)が異様なひしゃげ方をしているのだが、しばらく不思議に思って観ていて気付いたが、下1メートルくらいから見上げるとおそらく正しい姿で見えるのじゃなかろうか。扉の高さが3メートル近くあれば、なるほど、確かに扉の上に飾る画として正しい、と思った。あれも印象的だった。

もう1つ、モーゼと言えば葦舟の中を拾われるところなのに、王女が乳母(実は実母)に世話をさせるというモティーフの画があって、これも印象的かつ名のある画家なのだが(忘れた)、たぶん依頼主がこれを書けと指定したのだろうという注釈があって、おもしろいなぁと感じた。

ティントレットと言えば、ヴェネツィアの港を主題とした画が2種類あって、1つはアングロサクソンの近代の画で、もう1つは17世紀あたりのイタリアの画家(16世紀かも)で、後者の緻密さが非常に好みなのだが、子供は前者のほうが気に入ったようで、好みの違いというのもおもしろい。

アメリカの画家で、黒い塗りたくった山がポンッと放り投げられているような作品。これはいい作品。しかし作家は忘れた。


2012-11-25

_ Kindleで一冊読み終わったが

Kindle PapwerWhite買って、とりあえず何か買ってみるかと適当に探して、ガチバルピのジーンものがおもしろかったというのもあって、ジーンマッパー買ってみた。

Gene Mapper -core- (ジーン・マッパー コア)(Fujii, Taiyo)

で、読了したのだが、うーんと途方に暮れる。

作品は問題なくて(もっとも、途中まで一種の謎解きタイプで追いかけていくのが、あれよあれよとどんでん返しとかなく終わってしまって、ちょっとあっけないような気もしたし、何が何でも最後のあまりに明朗な未来観は、現実世界では同意はするが、小説作品としてはどうなんだろうと思わなくもない)おもしろかったのだが、Kindleが良くない。

まず、画面の見易さはまったく問題ない。軽さも悪くない。

ただ、片手で操作するときに、右手で持つと使いにくい。送るが左側2/3くらいの範囲だが画面を覆うことになって読みにくいからだ。左手で持てば良いのだが、すると、戻すの時に画面を完全い覆う必要があって、これも良くない。

つまり、それがすべての問題で、後に戻るということを、このデバイスはこれっぽっちも考えてないのだ。

多分、想定しているのは、脅威の速読野郎のような、とにかく次、次、次、とページをくっていくタイプの読書だけだろう。

だが、短期記憶に非常に難があり、そのために、作品中の事象と、そこから受けた印象で、細かなネットワークを作って(ノードに登場人物や位置や時間ごとの出来事などが配置される)、それによって作品の構成を記憶して読書するおれの方法だとやってられない。

紙の本であれば、左手の親指を現在位置にマークして、すばやく右手で以前の箇所を探し、読み返して、ネットワークを作る作業はきわめて容易だ。

だが、これがまったくできない。

めくると、すさまじく遅いから、10ページくらい戻ったところで、いやになってしまう(というか、短期記憶に問題があるから、何のために戻っているかわからなくなる)。

検索を使ってみようと思ったら、キーボードが異様に反応が悪くてぼろぼろキーを取りこぼすし、遅いし、そもそもおれが読み返すための手掛かりにするのはキーワードではなく、その文章の印象なのだから、無理な話であった(キーワードが判明しているということは、既にネットワークができてノードが確立した状態となっているということだ)。

妙な位置番号があるので、これを全体の数の割合でとか、やっても胡乱なこと甚だしい。

つまり、全然、使い物にならない。

というか、そもそも現在地点にマークするための操作に手間も時間もかかるので、その時点でアウトだ。

というわけで、いろいろ試してみたが、まともに記憶していられる範囲内で2つ以上のノードを結合する作業ができない。

たまたまジーンマッパーが内容が単純で大した伏線もなければ、人物関係も少ないので、問題なく読めただけだ。

これは(小説を読む)デバイスとして致命的な欠陥だ。

・もちろん、新しい器には新しい酒という考え方もあるだろうから、おれのネットワークを構築するような読書術を捨てて、一直線に過去を振り返らずに読み進めて、物語を消費すれば良いという主張はあり得る。

が、大きなお世話だ。メタに読めなくてどこがおもしろいのか? わざわざ貴重な時間を割いて読書を楽しむのに、読み方を制限されるのは、不快千万というものだった。

では、技術書を読めるかといえば、使い物にならないことは以前に書いた

とりあえず、ジーンマッパーを読了した時点で、つい、大物を買ってしまった。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版) (ハヤカワ・ミステリ文庫)(スティーグ・ラーソン)

が、最初の地図と登場人物紹介を眺めた時点で、このfor simple mindsなデバイスで読める自信はなくなってしまった。(で、なぜかなぁと考えて、そういえば、何か定義がわからない固有名詞が出て来たときに、初出位置を探そうとしてあきらめた経験から、これらのことを思い出したのだった)

聞いた話だと、SONYリーダには、高速ページ送り機能があるらしい。そういうのがあるなら話は別かも知れない。

また、Kindleのアプリケーション版にはスクロールバーがあるらしい。これも移動は容易だろう。アプリケーションにあってデバイスにないとしたら、考えられるのは、マシンの遅さだろう(キーの取りこぼしの激しさから、人間の操作速度に追随できていないのは明白だから、まともなスクロール操作に耐えられるとは考えにくい)。

うーむ、どうしたものか。

_ 事前に戻ることが予見できれば戻る必要はない

ブックマークをどう使えるのだろうか?


2012-11-26

_ MBAが安い

APPLE MacBook Air 1.7GHz Core i5/11.6/4GB/128GB MD224J/A(-)

なぜだ? 新しいのがもうすぐ出るの?


2012-11-29

_ Mono for Android

アスキーの鈴木さんに、Monoプログラミングを貰った! が、厚い!

黒い本の緑で、元がwroxなので中身は安心だと思う(ぱらぱら見ただけで全然読んでない)。

帯(っぽいがカバー)には、3つのプラットフォーム間で共有できるコードと書いているけど、ロボットが円の中から顔出ししているので、Androidターゲットの本だ。

Monoプログラミング .NET/C#とMono for AndroidによるAndroidアプリケーション開発(Wallace B. McClure)

IDEはMonoDevelop一択かと思ったら、むしろ最初にVisual Studioを使ったAndroid開発環境の構築のほうが出ていた。Eclipseを使わないで開発できるというのは実に良いことだ。

MonoTouchがAppleに追い込まれたせいで、for Androidという新天地の開拓がいっきに広がったというようなことが書いてあって、まあいろいろあるよなぁと思ったり。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ atsushieno [> MonoTouchがAppleに追い込まれた はは。まあちょっと前の本ですから、そういう現状とあっていない部分..]

_ arton [最近はグーグルに怒られたっていう噂が出てるみたいだよ。]


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