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日々の破片

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2008-10-02

_ トゥーランドット

新国立劇場でトゥーランドットの新演出。

幕が開く前から煙がもくもくしていて朝ぼらけの薄明かりの中を自転車が走ってくる。

ん? と思う間もなく屋台やらソフトをかぶった紳士やガルボ風な淑女が集まってきて、これはどこの1920年代か? と始まる。終始無音。そこに中国風の道化達があらわれて、人々に仮面をつけて物語の用意を始める。ドラゴンダンスや軽業、極彩色の舞台に変わる。

なんと奇をてらった演出と思わなくもなかったが、最後の最後にこの演出のうまさがわかる仕組みであった。

カフェの女給つまりメイドさんがリューになって、冥土に行ったあと、カーテンコールでメイドさんに戻って出てくるというのは意図しないジョークなんだろうか。

幕の終わりでも幕は降りず、かわりに舞台の中に作られた小屋(アルレッキーノ(カラフ)、コロンビーナ(トゥーランドット)、パリアッチョ(皇帝、というこたないけど))の扉が閉まる。舞台の中の舞台。

新国立劇場はバレエ団を持っているのだが、それがうまく利用できている。多少なりとも弛緩しそうな場面ではマイムや軽業が入るからだ。

首を失った王子たちが顔を描いた旗を持って行進。どう見てもチェゲバラです。

幕が開く前、ピットから下降音形が聴こえてきてやたらと耳に残り、そのため出だしの雑踏による混乱の箇所(さがれ犬ども)が妙に印象的だった。

金管は小屋の上に陣取っているため、やたらと響く。いつも思うが、新国立劇場の金管はすばらしい。そう考えると、これまで通ったやつ(リングにしろアイーダにしろ)、どれも金管が良く響く曲だったが、それを意識して曲を選んでいるのだろうか、そんなこたないか。

首切り役人が孫悟空のように飛んだり跳ねたりの大活躍。

現実的なピンポンパンの歌は何度聴いてもおもしろい。お姫さまのことを悪しざまにののしったり、まあ理不尽の犠牲者たちではある。

トゥーランドット役は、きれいな美人で、ブリュンヒルデもできそうだな、と思ったら、実際にブリュンヒルデを演じたこともある人だった。(ニルソンのトゥーランドットがあるそうだが、聴いてみたい)

それにしても物語の破綻ぶりは、カラフが正解したとたんの、トゥーランドットのうろたえっぷりによって示されているなぁ。それまでの掟をたてにとった暴虐ぶりからうってかわって、なしにしてくれという虫の良さはおとぎ話にしてもひどすぎる。2幕のコメディというのは1場だけではなく、ここまで含んでいるのではないか。

リューは、いかにもリューな日本の女性だが、(他の歌手の大きさと比べると、極端に)小柄なのによく歌っていて好印象。

それだけに、リューの葬送が終わったところで、プッチーニが続けられなくなったのがはっきりわかる。リューを入れたことで物語が完全に破綻してしまったのだから、自分で自分の首を絞めたということなのだろう。

この演出(アルファーノを利用している)はそれを強調して、あくまでも蛇足なのだとしているのだが、それは説得力がある。おそらく、蛇足とそれ以外をきれいに分離するために舞台の上の小屋というある意味ベリズモの原点に敬意を表するような形にしたのかも。

プッチーニ:トゥーランドット 全曲(プッチーニ/エレーデ(アルベルト)/サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団/デバルディ(レナータ)/デル・モナコ(マリオ)/ボルク(イルゲ)/サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団/ザッカリア(ニコラ)/コレナ(フェルナンド)/カルリン(マリオ))

デルモナコのカラフも聞いてみたいな。

しかし、ペンタトニックな金管の合奏であの詩だとどうしても東方紅を想起してしまうのだが、みんな同じ曲に感じてしまう不思議な音階だ。

プッチーニ トゥーランドット (オペラ対訳ライブラリー)(プッチーニ; 高崎 保男/小瀬村 幸子)

(これ、レビューを読むとスコアみたいだが、本当か?)

魅惑のオペラ 4 トゥーランドット プッチーニ

しまった。DVDのほうじゃなくて、これを買えば良かった。というか、このシリーズをDVD検索で見つけられないというのは問題だなぁ。まあ、覚えたからこのシリーズは少しずつ揃えることにする。

追記:こっちがスコアじゃん。アマゾンの表示方法がおかしい。

Turandot: Dramma Lirico in Tre Atti E Cinque Quadri (Ricordi Opera Full Scores)(Giacomo Puccini)

どうも、同時に購入した人のレビューをごっちゃにして表示しているようだ。逆にスコアの解説が対訳本の解説になっているし。


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