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日々の破片

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2009-08-19

_ 椿姫

子供にねだられてパリ・オペラ座バレエの椿姫を買ってやったら、おそろしくできが良く、どえらく気に入った。これは美しい。

La Dame Aux Camelias/ [DVD] [Import](Agnès Letestu)

まず舞台がシンプルで、確かにゼッフィレッリのアイーダみたいなスペクタクルは嫌いではないのだが、それでも先日の東京シティバレエのロミオもそうだが、おれは抽象的な舞台が好きなのだと再確認。

東京流れ者の木村威夫ファンだしな。

確かにできの良いプティパは観ていて嫌いではないのだが、モダンな舞台のほうがしっくりとくる。

同時にマノンレスコーと椿姫が進行し、情景はフラッシュバックで構成されているため、お話を良く知らないとついていけなくなるかも知れないが、そこはばかみたいに単純素朴な椿姫の物語なので気にせず突っ走れる。

2枚組DVDで、2枚目で演出家のノイマイヤーやダンサーがいろいろ語るのが入っていて、ここではノイマイヤーが多分、フランス人のためにえらくわかりやすい英語で話すので(意味も明確になるように考えているのだと思う)日本語字幕とか入ってなくても十分に聴ける。というか、ノイの部分がノイだからドイツの人なのかな?

で、椿姫を踊る女性(アニエス・ルストゥツと読むのか?)が背が高くて、どうも最近小柄なバレエダンサーばかり見ているからか(したがって、あまり背が高いダンサーは居ないとか考えていたらしい)、最初違和感があった。が、演技がかっちりとできる分、年取っても仕事ができそうに思える。というかえらく美しい人だ。

ということもあって、いずれにしろこれは大人のバレエだなと思う。ベッドに転がったり服を脱がせたりするし。それが痛切だったりするのだから表現力はすばらしい。特に、親父に説得されて別れたものの、最後の一度だけ燃え上がるところの凝集性はおそるべきだ。黒い服ということは喪服だが弔っているのは自分たちの愛ということだろうが、それを一度は脱ぎ捨てて、しかしまた大慌てで身にまとい去っていき、そして2度とは遭うこともなく、一人で死んでいく(メイドさんはいるけど)。

(白塗りがきついこともあって、暗黒舞踏の表現力を想起したりもする)

主役はほとんど出ずっぱりだからすさまじく体力も消耗しそうで、特にアルマンは大変そうだ(デグリューも同時にマルグリットとマノンを運ぶところがあって、これはこれで重労働)。

それにしても、つくづくバレエという表現芸術も奥が深いものだな。


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