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日々の破片

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2011-06-28

_ 府中の森でコンサート

東京交響楽団のコンサートを聴きに府中の森。なんか途轍もない住宅地のはずれにでっかなコンサートホール(3つもホールがある。どりーむとふるさとともう1個)がのっぺりと建っているという、実に奇妙な場所だ。

指揮者の飯守泰次郎という人はプロフィールを読むとおれが生まれた年にデビューとかあるので、相当の年齢だと思うのだが、めりはりの効いたくっきりした指揮っぷりで楽しい。

コンサートマスターが小柄な女性でやたらと拍手を受けるなぁと思ったら、ソリストも兼ねていて大谷康子という人。楽しそうにツィゴイネルワイゼンとか初めて聴くけどモンティという人のチャルダッシュとか、ハンガリー&ジプシー系の技巧的な曲を弾きまくっていて達者なものだった。体全体でリズムと取るスタイルの演奏は観ているこっちも楽しくなるので良いなぁ。割と席が前のほうだったので、ツィゴイネルワイゼンを弾いているところとか良く見えて、チョンチョンっていうのはそこだけぱっとピッチカートでやっているのか(音の通りだから当然なのだが)とかわかっておもしろかった。演奏しているところを観るのは良いものだ。モンティでは速いところで舞台を左右に動いて弾いているところを観えるようにしているということは、奏者もそれを意識しているということなのだろう。コンサートってのはつくづく面白いものだ。

夢のあとに(大谷康子)

(なるほど、モンティという人の曲は得意なようだ、が、このCDは顔が違うような気がするけど化粧の仕方の問題なのだろう)

で、こうもり序曲から始まるのだが、演奏はうまいものだが、なんか妙に中音が強調される奇妙な音響でちょっと気持ち悪い。コンサートホールの形状の問題か座席の位置の問題なのか? でも指揮と同じくめりはりが効いていてリズミカルでしかしきれいに歌って(ただなんか妙に野太い音がし過ぎてそれがホールの音響の問題のように感じたのだが)いて、演奏は良い感じなのだが。で、この曲はオペラそのものを知って聴くと、あの曲、この曲、この場面というのがやたらと楽しいのだが、知らないで聴けばオペラが始まるとえーあの曲がこう使われるのかぁと意外性があってそれはそれで楽しめるなぁと、実にうまく仕込まれていると気付く。楽劇とかだとこうはいかない。というわけで、12月の新国立劇場が楽しみとなる(全然関係ないわけだが)。

で、森麻季が出てきて仕草をいろいろしながらこうもりの歌。知っているのだが場面を思い出せないもどかしさで、後で小間使いの歌と聞いて、仕草に納得したり。ここでも音響がおかしい。中音がでか過ぎて声が聴きとりにくい箇所が相当あって、最初、森麻季の声が弱いのかなぁと思ったが(最初だからそういう面もあったとは思うが)、どうも妙な残響がある。

で、佐野成宏という人が出てきて(というか、森麻季以外は全然知らないのだが)カヴァラドッシの歌を歌う。

いい声だ。が、コンサートでは全部で4曲歌ってそれが死刑前の歌と、恋人の死を前にした歌と、別れの手紙にとまどい怒る歌と、勝手な妄想で苦しむ歌と、どうも楽しくない歌ばかりの選曲で、そういう歌が好みならしょうがないが、そうでなければ1曲くらい田舎者ぞろいのフィレンツェなんだから鼻がでっかな知恵ものを暖かく迎えてやりましょうの歌とか、愛だよ愛、でも教会や政府や貴族が食い物にするぞの歌とか、楽しくも力強い歌も入れれば良いのになぁとか思った。

オーケストラは楽器の入れ替えに応じて人も入れ替わるのだが、トライアングルの人が妙に若いのが目についたが、ともかく全体に若い雰囲気で、しかも抜群にうまくて(それが定番曲ばかりだから練習もたくさんしているのだろうが、それでもやはり)感心した。思わぬところで良いものが聴けたという感じだ。

ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」/クライバー指揮 [DVD](パメラ・コバーン)

2年前に定価2700円くらいで買ったDVDが、7000円とかで売っているのを見ると、不思議な感じがする。


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