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日々の破片

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2018-12-30

_ ロメールの友達の恋人

妻が図書館で、ロメールがあったといって友達の恋人(正確には女友達の男友達)を借りてきたので、30年ぶりに一緒に観る。というか1987年の作品なのでまさに30年ぶりだ。おそらく、今は無き渋谷のシネセゾンか、六本木のシネ(忘れた)で観たはず。

ロメールの寓話と格言シリーズの最後の作品らしくて、人物紹介が最初行われる。市役所の大きな個室を与えられている若い女性官僚のブランシュ、電力会社の官僚のアレクサンドル、学生のレア、美術学校の学生らしきアドリアンヌ、台詞が少なくていまいちよくわからないがおそらく研究室らしき場所にいるので研究者のファビアンがぱぱぱぱと切り取られて、格言の私の友達の友達は私の友達、というのが示されて始まる。

物語はどうでも良くて基本は会話と表情と風景の切り取り。リズムが良く会話がおもしろいので、目の離しようがない。見事な映画だ。

1人で飯を食っているブランシュ(白雪姫なんだろう)のところに、レアがやってきて一緒に飯を食っても良いか? と尋ねる。1人で食っていると男が声をかけてくるからいやなんだ(悪気はない)。ということから、ブランシュはぱっとしない外見で、レアは人目を惹く外見なのを強調する。

会話をしているうちに、ブランシュはデフォンス(労働者の集合団地がある場所だから多摩ニュータウンみたいな感じ)の近くのもう少し高級な場所(多摩センターの後ろのほうぐらいの感じか)に住んでいることがわかる。というか、それなりに高級官僚だ。レアが学生だが卒業すれば同様な役職に就くのは明らか。

二人はそれなりに仲良くなり、ブランシュはレアに泳ぎを教えることになる。

二人が歩いているとファビアン(誠実ではある)が向こうから来る。レアと同棲しているのだが、すれ違いも多いらしい。目つきが良くない。一方的に喋ってレアと一緒に行こうとするのでブランシュは帰る。

一方、プールでレアとファビアンの共通の友人のアレクサンドル(王様だな)を見かける。イケメンで背が高い。背が低くてぱっとしないブランシュは一目惚れする。

その時のアレクサンドルはアドリアンヌとつきあっているが、基本、常にもてるので寄って来た女性とつきあう状態だということがわかる。

レアに励まされてブランシュはアタックをかけようとするのだが、何しろ自己肯定感が低すぎるので、何もできずに悔し涙に暮れることになる。

一方、レアは何かと細かいファビアンにうんざりして別の男友達と旅行に出る。ブランシュはファビアンと同じ日に2回も出会ったためにウィンドサーフィン(湖に近い)をすることになり、さらに労働者階級用のキャンプ場をうろつき、山の中に入る。レアは労働者階級の遊び場は嫌がるけど、おれは好きなんだ。私も結構楽しい。ということで、ついねんごろになってしまうのだが、ブランシュの自己肯定感の低さがときどき爆発するので、ファビアンは困惑するいっぽうでそれはそれでOKな感じでもある。樹が風に吹かれる。

が、レアの旅行はうまくいかず、ファビアンとよりを戻す。ブランシュはそれはそうよね、と自己肯定感の低さを爆発させて素直に納得する。

とは言ってもブランシュはアレキサンドルと出会ってもやはりうまく口を利くことができない。ウィンドサーフィンはする? いや、僕は海でヨットに乗る(キャンプ場だけでなく、どうもウィンドサーフィンも労働者階級の娯楽なのかも)。

ブランシュ(気張ってやたらとえりが強調された青い服を着ている)とレアが一緒にいるところにアレキサンドルがやってくる。レアはブランシュのためにいろいろとアレクサンドルとの会話のきっかけを作ろうとするのだが、そのうちに普通にアレキサンドルと自分の間で会話のピンポンが始まってしまう。それを無駄に見ているうちにブランシュはうんざりしている自分に気付く。悲しくなってその場を離れる。1人でうじうじしていると、アドリアンヌがブランシュに気付く。あら素敵な服ねと近寄って来て、アレキサンドルの官僚くささが嫌になったから、やっぱり芸術家のコミュニティに戻るというようなことをブランシュに話す。

ブランシュが何がなんだか混乱しながら帰宅するとファビアンからレアとは完全に別れることになったからおれと付き合ってくれと言われる。アレクサンドルよりもファビアンに惹かれている自分に気付いたブランシュは了解し、人気があまりない湖畔の食堂で待ち合わせの約束をする。

でも映画はここでは終わらない。

それを知らない青い服のアレクサンドルと緑の服のレア(すでに一緒になることを決めている)が人気があまりないので湖畔の食堂で飯を食おうとやってくる。

先に青い服を着たブランシュが1人でいるのを見つけたレアが、(まだブランシュはアレキサンドルが好きだと思っているので)アレキサンドルに隠れていてくれと頼んでからブランシュの横に席を取る。

実はあなたに言わなければならないことがあるの、とレア。

何かしら。

実はあの後いろいろあって、やっぱりつきあうことにしたの。

ファビアンとよりを戻すことだと勘違いして怒り泣き出すブランシュ。

困るレア。

向こうから何も知らないファビアンが緑の服を着てやってきて、店の中からは隠れているが表では丸見えのアレキサンドルに挨拶する。(ファビアンとアレキサンドルは妻によれば肉体関係があるくらいに親しい仲だし、まあそう見える。もちろんホモではなくてそれはそれこれはこれ)

二人で連れ立って中に入り、誤解もとけて4人仲良くおしまい。

ブランシュの自己肯定感の低さがあまりに筋金入りなのでファビアンの前途は多難そうだが、まあめでたしなのだろう。

友だちの恋人/風景の変貌 (エリック・ロメール コレクション) [DVD](エリック・ロメール/マルガレート・メネゴズ)

やっぱり抜群におもしろい。ロメールは最高だな。


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