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日々の破片

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2008-10-20

_ ノート

子供が生まれる前のころ、魯迅を読んでいて、次の文章に心を動かされた。
……いま子女を圧迫しているものが、十年前は家庭革命者であったかもしれない。これは年齢や地位とも関係することでありましょうが、記憶のよくないということも、大きな原因のひとつであります。その救済法としては、各人が一冊のノートブックを買うことです。自分の現在の思想と行動を全部記録しておいて、将来、年齢も地位も変わったときの参考にする。たとえば、子どもが公園へ行きたがってうるさいと思ったときは、それを取り出して開いてみる。そうすると「私は中央公園へ行きたい」と書いた箇所がある。そこで、たちまち気持ちがやわらいできましょう。ほかのことでも同様です。

多分、公園という具体性(「私は中央公園へ行きたい」とはパターンランゲージではないか)が、いくつかの光景、感触、気分といったものを想起させるからだろうが、強い印象を受けた。そして、物理的にはともかくノートをつけることはやっておこうと思い、いくつかはどこからか拾い出し記録しておいた。

とはいえ、ある特定の瞬間には、ノートを開く隙もあらばこそ、なぜではなくなにだけで決めることもあり、そのようなとき、後になってノートが開かれて置かれていて、なんともやりきれない気分になることもあり、つまることろは反省したりする。

それとは別の考え方をすることもある。そのようなノートは単なるわだかまりであり、それをとっておくことは何かの間違いではないか、というようなことだ。大人というものは、そのようなノートを償却し焼却した先にあるのではなかろうか。

そう思う先から、ノートを通じて気分を共有できることもあり、そのようなときには、やはり公園へ行きたいという気持ちを思い出す。

というようなことをときどき考える。

魯迅評論集 (岩波文庫)(竹内 好)

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